矯正歯科の教科書で、不正咬合が遺伝することを説明される際、よく説明に使用される例として、ハプスブルグ家の下顎前突があげられます。
ハプスブルグ家とはヨーロッパの広範囲を支配していた王朝で、その支配を強固にする目的で血族結婚を繰り返した結果、下顎前突の子孫が多くなった経緯があります。
この王朝は第一次世界大戦で崩壊してしまいます。
メディアでも不正咬合が遺伝する例として、よくとりあげられます。
しかしよく考えてみてください。
そもそも血族結婚(遺伝的に似た人同士が結婚すること)自体が稀ですし、何代にわたって血族結婚しても孫やひ孫に下顎前突はいますが、全員ではありません。
不正咬合は遺伝することはするのですが、かなり限定的な条件下で、さらに必ず遺伝するものではないことはご承知おきください。
自分の遺伝子のせいで、子供や孫が同じ不正咬合になってしまうのでは、と悩んでいる方は悩まれなくてよいと思います。
2024/12/06